◆たよりの箱(21)◆

2007年1月から4月の「菜園たより」です

無農薬有機野菜と平飼い有精卵の
菜園「野の扉」

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2007年4月3週号

■ 涼しい4月 

 ここ数年は、4月に入ると霜も降りない年が多かったのに、今年は5日に氷まで張ったし、これまで20度を越える日が珍しいという、涼しい日が続いています。それでも、盛んにウグイスやヒバリが鳴き、ツバメも姿を見せ、小麦はユサユサと、玉ねぎの葉は隆々と、伸びています。

 ハウスの中では、もうすぐ大玉トマトの定植です。トマトの苗の世話をしていると、ふっとトマトの香りがして、赤い実を食べるのがとても待ち遠しくなります。露地の畑にも、トウモロコシ、枝豆、インゲン、ズッキーニ、ミニカボチャと、夏野菜を植えだしています。みんなビニールトンネルなどの保温資材で守ってやっています。春野菜たちは、逆に保温資材を取って虫除け資材にかけ替えたりして、収穫を待っています。大玉トマト以外のナス科の野菜たちの定植は、4月末から5月にかけて、これからのひと月は、文字通り気のぬけない農繁期となります。

 野菜セットの方は、芋類がないので、葉野菜が中心です。暑い日は、「ヘタリ」がちになりますので、上手に使っていただけると、うれしいです。

■ 鶏の肉の話〜「地域の宝」の加工所のこと 

 さて、3月中旬に引っ越した「新居」の敷地には、プレハブの「食鳥食肉施設」が建っています。これは、鶏を肉にする作業を行う場所です。養鶏をしていると、必ず、年を経た鶏を「廃鶏」としてつぶすことが必要になります。
 かつてお願いしていた隣町の老夫婦が廃業したため、私たちの脱サラ就農の先輩である前住者が、数年前に協力者たちと作り上げた施設なのです。少羽数を飼う農家が持ち込む数羽の鶏でも引き受けてくれる、近場の業者が次々と消えるなか、時代に逆行して、小さな食肉加工所が新たに成立する例は、全国でも大変珍しいことだそうです。うちもここで、廃鶏を肉にしてもらって、お客様に頒布していました。
 そんな貴重な施設を維持していくため、というのが、実は私たちがこの「新居」に移住する一番大きな理由でした。敷地全体が不動産業者に売却されたら、この施設が取り潰されることは確実でした。経営者としていろいろな引継ぎをし、食鳥食肉処理販売に関する許可を受け、と、手間もお金もかかりましたが、実際の作業をしてくれているMさんのおかげで、以前と変わりなく業務は続けられています。

 そこで、あらためて、うちの鶏肉の宣伝をしたいと思います。
 自家配合の吟味したエサと、うちの野菜をいっぱい食べさせて、一度も薬剤や抗生物質を与えていない、健康な鶏たちです。土の上を走り回って、卵を産み続けた鶏ですので、肉は固いですが、調理の仕方でおいしく食べられます。腕のいいMさんが、普通の部位別のさばき方のほか、一羽丸ごとの「丸ドリ」やひき肉にもしてくれますので、調理の幅が広がりました。

  一羽分、1,000円 

です。もも肉、むね肉、ササミや手羽ほかで、800g前後。ひき肉なら600gにササミほかがつきます。ご希望の方には、よいスープが取れるガラをつけます。レシピも新しく作りますので、今まで、試したことのない方も、どうぞ、お声をおかけください。頒布日は、不定期ですので、こちらからご連絡します。よろしくお願いします。(4月16日記)

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2007年3月5週号

■ もうすぐ4月 

  「高温多湿」の冬のあと、冷え込みが続いた3月も、もう終わりに近づきました。畑は、とにかく乾いていました。中道を走る、自分の車の立てる土ぼこりで、視界がさえぎられるほど。この低温乾燥で、春野菜たちの生育は滞っていましたが、いったんたっぷり水をもらえば、今度は一気に取れだして、それはそれで困ってしまうでしょう。

 そんな心配は無用の、それでも久々の、昨日のちょっとした雨が上がるやいなや、夫は、ハンマーナイフ(大きな芝刈り機のような除草の機械です)で畑中歩き回りまわって、冬野菜の残りや、ウネの間や道の草を粉砕していきました。渇きすぎていて、この作業ができない間に、あちこちお花畑となっていましたので。
 小松菜類の黄色い花、ぺんぺん草の白い花、ホトケノザの紫色に、オオイヌノフグリの水色の花と、咲き乱れるのを見て、種が落ちてあとが大変だなーと思う母の横で、「きれいーー」と喜ぶ娘。それで、今回のさし絵は、「菜の花」です。小学校5年のとき、初めて描いたさし絵と同じ題材となりました。

■ 夏野菜たちの苗 

 夏野菜の育苗は、順調に進んでいます。一昨日は、ハウスに最初のキュウリを少しだけ植えました。まだ、露地に出すのは、不安がありますが、4月に入れば、最初のトウモロコシをトンネルをして植えることになるでしょう。踏込み温床の上には、2回目のキュウリや、インゲン、枝豆、ズッキーニ、ミニカボチャ、調理用トマトに、トウモロコシ、赤シソ・青シソ、と発芽前後の苗たちがぎゅーぎゅーに載っていますし、温床の中には、サツマイモの種芋を伏せてあります。床には、大きなポットに移したナスや大玉トマト、ピーマン・シシトウの苗やセロリなどが並んでいますし、別のハウスには、育苗ハウスからはみ出したキャベツ類やレタス類の苗があります。少量多品種栽培のきわみ、という苗たちを見ると、農繁期に向かう加速感がひしひしと迫ってきます。
 昨春独立した、元研修生の幸雄さんは、この春は、自前のきっちり建てた育苗ハウスで、初めて、春野菜・夏野菜の育苗をしています。自分のペースで着実に進んでいる様子が、気持ちよく育っている苗たちからうかがえました。

 ★ 前号で書いた「引越し」ですが、寝食部分を移動して1週間がたちました。いろいろ煩雑なことやらアクシデントもあり、とうとう「月刊」となってしまった「菜園たより」、これは「新居」に設置したPCで書いています。出荷や、鶏のエサ作りや卵整理、漬物や貯蔵ものまで移動できるのはいつになることか、どんどん忙しくなる農作業のすきまを使って、体力の微々たる余力で、あせらず無理せず進めたいと思っています。野菜セットを直接取りに来ていただいているお客様には、まだ、旧宅の方でしばらくお願いいたします。変更になる前に、改めてご連絡します。(3・26記)

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2007年2月4週号


■ 山芋をもっと身近な食材に 

 サツマイモは年明け早々に終わり、ジャガイモも「十勝こがね」という固い品種のものが少しあるだけです。山芋には、野菜セットのイモ類として、大雨で貯蔵状態がよくない里芋とともに、あと2カ月は2枚看板を務めてもらいます。幸い豊作でしたので、増量をご希望の方がいらしたら、1キロあたり350円でお届けします。お声をおかけください。
 山芋の活用法を、「野の扉」の料理特別顧問(?)の豆花茶席の白崎裕子さんに伺いました。
1) ネギ入りとろろ  ネギを青いところまでペースト状になるまで「ウルトラみじん切り」する。とろろにたっぷり載せて、卵としょう油を加えて混ぜる。(一番人気とか)
2) ぬか漬け 皮をむいて、塩をすり込み、丸2日漬ける(驚きました、長ネギのぬか漬けもおいしいそうです。何回もぬか床をだめにしている私は、食しておりませんが、裕子さんの愛娘はなちゃんも太鼓判を押しています。)
2) オリーブオイル焼き   1〜2センチの厚さに切って、たっぷりのオリーブオイルを入れたフライパンでこんがりと焼く。味付けはお好みで。(教えていただいた「ゆずこしょう」、これはおすすめです。)
3) 蒸すと里芋みたいにホックリする 
4) 千切りでかき揚げ 
5) おろしたものを、海苔で巻いてあげる 
6) おろしたものを、味噌汁の出来上がりに、さっとちらす。   

 配達の際の立ち話なのに、すらすらと料理法が出てくる裕子さん、料理とお菓子のお教室のほうも大盛況のようです。お教室について詳しくお知りになりたい方は、お声をおかけください。
 (裕子さんのホームサイトは 「白崎ふくろう城」 です。そちらから、詳細がわかります)

 ■ 今年の温床 

 高卒で就職する息子にとっては、おそらく最後になる温床の踏込みでした。単管パイプ(足場材)で組んだ周囲1メートル×4メートルの枠に、稲ワラをつめ、中に、水をかけながら切った稲ワラと落ち葉と米ぬかと鶏ふんを20サイクルほど積み重ねていきます。一段ごとに踏んでいく、その足の動きが遅いのを注意されて不服そうな息子に、夫が「あとで効いて来るんだよ」と。
 ぱさぱさだったワラや落ち葉が、水を含んだスポンジのようになることで、温度がゆっくりと持続する「嫌気性発酵」が可能になるのです。ただどーんと重ねて水をやっただけでは、ひと月以上続く、夏野菜たちの育苗期間を暖かく守ることのできる温床にはなりません。
 電熱線を利用した育苗に対しての、この伝統行事、寄る年波の私たちには、足腰にも「あとで効いた」・・・
 

 ■ 引っ越します 

 昨秋突然、近所の脱サラ百姓の先輩に、移住するので家屋土地を購入しませんか、と言われました。東京からここ寄居町に来てはや15年。農家資格はあるので、割安な農地を購入して、農業施設を手始めに少しずつ終のすみ家を作っていけたら、と思って探していましたが成果なく、去年、当面は今の借家でやっていこうと水道排水設備を整えたところでした。
 築20年とはいえ、私たちには少しぜい沢な大きな平屋住居と、出荷作業のできる大きな物置や小屋がけ部分がいくつもあり、この近隣の平飼い養鶏のみんなのための食鳥施設(うちの鶏もお世話になっています)があります。いろいろ悩みましたが、親の援助も受けて購入することになり、現在住居のリフォーム中です。庭木というには伸びすぎた樹木の手入れに始まり、外回りの片付けはずい分時間がかかりそうですし、農作業にかかわる設備や貯蔵の方まですべて引っ越せるのは、次の冬を待つことになりそうですが、寝食部分の引越しは3月中旬の予定です。
 春の農繁期ですし、仕事は休むことができませんので、春休みの子供たちの力を当てにしつつ準備を進めていますが、何かとご迷惑をおかけすることがあるかもしれません。その折は何卒ご容赦ください。

新住所 〒369−1214 寄居町今市228−3  電話番号は変わりません。(2月26日記)

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2007年2月1週号

■ また同じ野菜ね 

 と、共同出荷している自然食品店さんの店頭で、お客さんがつぶやいたとか。
 暮れからずっと、大根、人参、ネギ、白菜、キャベツに菜っ葉、イモ類・・・
 でも、今の時期ならではの野菜の「旨み」は他の季節では得がたいもの、と、強弁するわけではありませんが、たとえば、今朝の聖護院大根の味噌汁は、白味噌仕立てかと思うほど、甘くておいしかったです。
 近くのスーパーで、うちでは7月にとれ出す調理用トマトが4個100円で売っていましたが、うちのセットに目新しいものが入るのは、まだまだ先のことです。それでも、ハウスの中では、レタス類が大きくなって、春大根や春人参、春キャベツがむくむくと太りつつあります。露地でも、1月の平均気温が例年より2度ほど高かったという暖冬で、いつもなら茶色くチリチリになる越冬大根の葉っぱがまだ緑を残しているし、トンネルに作付けた野菜たちも順調に生育しているようです。
 里山の鶏小屋の水おけが一度も凍ることなく、このまま寒さの峠、ならぬ丘をゆっくり下って、春を迎えそうな気配ですね。
 

■ バーチャルウォーター

 <「仮想水」輸入大国・日本>という記事を新聞で見ました。食料自給率40%の日本は、大量の食料を輸入することで、その生産に必要な水も世界から輸入していることになるそうです。
 水に恵まれている日本なのに、農業生産は減少し続け、農業後継者がいなくて、耕作放棄地が増えていく。食べ物は満ち溢れて、食べ残しがゴミとなる。それは、砂漠化が進むなど、世界各地で深刻な問題になろうとしている「水危機」のさなかに、水を捨てているのと同じことになります。“湯水のように”使う生活は長続きしないでしょう。
水は低きに流れるのが自然。水を集め、より高く積み上げるエネルギーがあったら、やるべきことは他にあるのでは・・・

■ 鳥インフルエンザ2007

 今年に入って、宮崎県3ヶ所、岡山県1ヶ所の養鶏場で、高病原性強毒性の鳥インフルエンザの発生が確認されたことは、皆様もご存知のことと思います。世界では、昨年11月の韓国での発生以降、中国、ハンガリー、イギリスで発生していますし、これまでに人間の感染死が出ている東南アジアをはじめ、ヨーロッパ・アフリカや北米など、世界中に鳥インフルエンザのウィルスが常在し、少しずつストックされているのでしょう。
 おととしの茨城の事件は、人間の自作自演に巻き込まれた鶏たちの悲劇だったと思われます。しかし、今回の高病原性強毒性の鳥インフルエンザ・ウィルスは、自然界からの“贈りもの”です。日本中の養鶏家と関連業界の方々が、かたずをのんで見守っています。超零細養鶏家の私たちにできることは、手をかけたエサといっぱいの野菜を与えて、鶏たちに元気に過ごしてもらうことだけです。(2月5日記)
 (さし絵は、オオイヌノフグリ。どこにでもある雑草です。かわいい青い花を咲かせるのはもうすぐでしょうか)

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2007年1月3週号

■ タンポポ咲いた? 

 戦後最強の寒波に見舞われた昨シーズンとうって変わっての、今シーズンの暖かさ。西日本では、平年より2カ月も早くタンポポが開花しているようです。

 畑より暖かい里山の木立ちの中に建つ、鶏小屋の水おけには、まだ一度も氷が張っていません。例年ですと、棒で叩き割るほど厚い氷が張る時期なのに。日照時間が短くなって産卵が落ちていた鶏には、この暖かさは幸いです。暖冬によくあるドカ雪もなく(ドカ雨はありましたが)、雪に閉じ込められて凍死することが多かったこの時期のブロッコリーが、今年は元気にしているのもうれしいことです。
 
でも、これから1月後半から2月にかけてが、寒さの峠。年末から、畑に作付け始めた大根・人参・菜っ葉などの春野菜たちが、防寒着を脱ぎ捨てるまで、まだ先は長いです。

■ おいしい小麦 

 うちでは、11月に蒔いて6月に収穫する小麦、品種は昔ながらの「農林61号」です。うどんに最適な中力粉ですが、自然食とナチュラルスウィーツの教室「豆花茶席」を主宰する白崎裕子さんは、お菓子やパンに活用してくださっています。 うちでは、ほかの粉と比べたこともないのですが、豆花さんにはいつも風味がよいとほめていただいています。多分、少量なので天日干しだからなのだと思っていたら、最近ブログで知り合って、パンに向く品種の種を分けてくれた方も、そば屋さんに、普通に流通している粉とは違うおいしさがあるとほめられたそうで、天日干しだからかな、と言っていました。
 今、オーストラリアとの経済交渉で、小麦などが関税なしで輸入される方向に向かっています。日本の小麦産業自体が破壊されてしまう危機に立たされているのです。でも、この辺では麦は「自給の要」でしたし、水田を持たない私たちにとって、麦作りはとても大切な営みなのです。今は、ほんの少しを十分な機械もなく栽培しているだけですが、豆花さんのように喜んでくれる方に使ってもらったり、乾麺に加工してもらったりして、種をつないでいこうと思います。もう少し作付けを増やして、将来は夫がパン作りを楽しめるように、というのは、「絵に描いたパン」かな。

 暮れに一緒に草取りをしたネギ苗(11月蒔き)がとれ始めるのは、9月だと聞いて、長くかかるんだぁとい言っていた娘。今回描いたさし絵は、ハウスの中に11月に蒔いた人参です。収穫は4月になるでしょう。(1月14日記)

この暖冬で、貯蔵玉ネギがどんどん芽を伸ばしています。ジャガイモと異なり毒などありませんので、少々はご勘弁ください。サツマイモは、電気毛布で保温して貯蔵して、出荷時に両端を切って中を確認しています。届いたら早めに使ってください。

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2007年1月1週号

uribouあけましておめでとうございます。
本年も、菜園「野の扉」の野菜たちをよろしくお願いいたします。

暮れの26日、水っぽかった2006年の最後を締めくくるにふさわしく、12月としては記録的な大雨が降りました。大切に里芋をしまっておいた貯蔵穴が水没したり、畑を川が流れたりしました。
今年はどんな年になるでしょうか。

この春、車で数分のところに、住居は引っ越す予定です。畑や鶏小屋は今までどおりですので、仕事の動きがどうなるのか、ちょっと心配です。夏野菜を植える前には、落ち着いていたいとは思っています。(2007年1月5日記)

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