◆たよりの箱(23)◆

2007年9月から12月の「菜園たより」です

無農薬有機野菜と平飼い有精卵の
菜園「野の扉」

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2007年12月3週号

■ 最後の蝶〜1年の計は 

 昨夕収穫した大根の葉っぱの間には、黄色いチョウチョがはさまっていて、取り出すとよろよろ飛び立とうとしていました。今年も折にふれ、「温暖化」の進行を感じましたが、無事1年通じて皆様に野菜と卵をお届けできました。ありがとうございます。及第点をいただける品質だったでしょうか。

 さて、無農薬・無化学肥料で、この地で出来るものは何でも作ろうと、多品目の野菜をくるくると作り続けて、来年の10月には、丸15年になります。研修期間の2年を含めると、16年以上過ごした借家から引っ越したことは、今年の、いえ、「野の扉」史上の、最大のイベントでした。

 野菜作りの方では、「地域農業の変化」がじわじわと進みつつあるようで、私たちの営農にも影響が出つつあります。卵の方も同様に、輸入飼料を使わない、今のうちの養鶏が成立っているのは、「地域農業」あってこそです。地域の資源を有効利用した自分たちの有機農業の存続のために、新たな取り組みも必要になってくるかもしれません。

 また、地域に根付いた、無農薬無化学肥料の有機農業と平飼い養鶏を、零細ながら何とか続けていくためには、後継者についても考えていかなければなりません。自分たちが前の世代から引き継いだものを、引き継いで発展させてくれる人と出会うことを切に望んでいます。

 この二つのためには、これまで以上に人と人とのつながり、ネットワーク作りが大きな課題となるでしょう。
ここまで、いってみれば、無謀な、行き当たりばったりの経営で、皆様のおかげで何とかやってこれましたが、この先は、体力の衰えをカバーするべく、もっと計画的に営農をしていかなければ、と元旦の前に、「計」を練っています。とはいえ、農閑期なしの周年作付け・出荷の毎日が続きますので、どこまでできますか。

 毎年、毎日違う天候に翻弄されながらも、これからもよい野菜よい卵をお届けできるよう、気をひきしめていきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

■今年のカレンダー 

 去年ご紹介した『たまおこしの暦 2007 てるて 畑のスケッチ 菜園たより』を購入してくださった方へ。
 多摩の木で作ったスタンドは、毎年使えますね。「たまおこしの暦」を作っている、「たまの会」(それぞれの仕事=生業の合間を縫って『たまおこしの暦』を製作し販売し収益金をたまの森の保全活動に寄付しています。詳しくは、http://www12.plala.or.jp/tamasato/033_08KoyomiList.htm にあります。)から、2008年のカレンダーのお知らせがあります。
 『たまおこしの暦 2008 たまの野菜物語り 野菜や果樹の花、季節を告げる語りべたち』(カラー写真です)が、本体(カレンダー部分のみ)価格630円で頒布されます。ご希望の方は、「野の扉」までご連絡ください。野菜セットとご一緒にお届けします。(12月17日記)

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2007年12月1週号


 「不意打ちの冬」のせいなのか、紅葉が例年より鮮やかに感じられます。赤や黄色、それぞれの色が冴え冴えと競い合っています。そんな中、あっという間に、12月です。年々、1年の経つのが早くなっていると感じますが、今年は特に早かったです。15年暮らした借家からの引越し、という大仕事を抱えて、何とかここまでやってきて、ゴールまであとちょっと。

■ 年末年始のお知らせです 

◎ 12月28日(金)までは通常どおりです。
◎ 1月 4日(金)より通常に戻ります。  
月曜 配達、発送の方 最終便は、24日です。宅急便の方は、25日(火)着です。

☆ ご希望の方には、29日(土)に、特別便を配達・発送します。お早めにご連絡くださるようお願いいたします。

年始は、7日より始まります(宅急便の方は、8日(火)着)ので、隔週配達の方は2週、 間があくことになります。
水曜 配達、発送の方 最終便は、26日(水)です。宅急便の方は、27日(木)着です。
☆ 1月 2日(水)は、お休みします。
年始は、9日より始まります(宅急便の方は、10日(木)着)ので、隔週配達の方は2週、 間があくことになります。
金曜 配達、発送の方 配達の方の最終便は、28日(金)です。宅急便の方は、29日(土)着です。
年始便は、4日(金)です。(宅急便の方は5日(土)着)

年末最終便の1回前のセットに、それぞれの方の、「年末年始の配達予定日及び最終セット内容予定品目を書いたチラシ」を入れます。ご覧いただいた上で、配達日の変更、お休みなどについてのご連絡をお願いします。

■ 炒り落花生はいかがですか 

 秋には、生で出荷していたましたが、残っていた豆を掘り上げて洗って乾かし、業者に焙煎を委託して、炒り落花生として袋詰めしました。200g入りで 380円です。ご希望の方は、数に限りがありますので、お早めにお声をおかけください。(12月4日記)

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2007年11月4週号

■ 不意打ちの冬 

 前号で「暖秋」と書いてほどなく、ぐんぐん気温が下がり、初霜・初氷、零下の朝が続きました。あわてて、防寒衣料で着ぶくれした体で、あれこれ野菜たちの防寒対策に精を出しましたが、間に合わず、色々傷んだりダメになるものも出ました。本来なら、寒さに備えて徐々に用意できるはずの野菜たちも、この乱高下についていくのが難しかったようです。鶏たちもびっくりして、産卵が落ちてしまいました。
 もうすぐ、12月。里芋の穴貯蔵や玉ねぎの定植、小麦蒔きは目処がつき、このあとは刈り取った大豆の脱穀・選別、タクアン漬けや赤カブ漬けなどの漬物仕事、ハウスでの作付けや春キャベツの育苗、など、例年通りの仕事が待っています。それに並行して、自宅の隣に新たに借りた畑に、物置ハウスを建てて、「旧宅」に残っているジャガイモやもろもろの道具を収納するという作業をしなければなりません。
 色々片付いて、穏やかな新年が迎えられるのか、タイムリミットは、あと35日・・・

【朋子のHappy Veggie通信】 Vol.2 〜染めてみよう!

 こんにちは。日ごとに冷え込んでくる今日この頃ですが、みなさんいかがお過ごしですか? こう毎日寒いと、外に出るのも億劫になりますよね。野の扉の畑に住む猫の「ニャン子」は、いつも暖かい場所を上手に選んで寝ています。それを見ては、羨ましいなぁと思う私です。
 さて、話は変わりまして、皆さんは草木染をしたことがありますか? 実は今、私の中で密かなブームが草木染です。え? 面倒くさそう? いえいえ、そんなことありません。私も先日初めてチャレンジしてみたのですが、これが思ったよりも簡単なんです。勿論、本格的にやろうと思ったら、色々細かい点でコツや手間がかかりますが、お遊び程度の草木染は誰でも簡単に出来るんです! 
 私が今回使用した草は「よもぎ」です。これは雑草として近所の道端に生えていたものを取って来ました。草木染の楽しさは、この材料集めから既に始まっています。「この草はどんな風に染まるだろう・・・」なんて考えるだけでワクワクしてくるんですよ〜。
結果報告としては、オーガニックコットンのヨガウェアが綺麗な抹茶色に染まりました。ムラになりましたが、それがまた可愛くて、大満足です。

 この抹茶色のウェアと、収穫して切り落とした人参の葉っぱで黄色く染めたシャツも、見せてもらいました。優しい色でした。詳しい染め方を、ホームページに「たより」と一緒にアップしておきますので、興味がある方は是非ともご覧ください。さし絵も、朋子さんが墨汁で描いてくれました。
次号は、早くも年末年始のお知らせとなります。(11月26日記)

<草木染の方法>

1: 雑草を摘む。ヨモギ(キク科の多年生)や、イタドリ(タデ科の多年生)など。
2: 大き目のなべに雑草を入れ、ひたひたに水をいれて沸騰させて弱火で20分程煮出していく。
3: ザルで別のなべに草を漉して、染液を移す。
4: 3の染液を火にかけ温める。染めたい布を染液に浸し20分程煮出す。布に色が定着したら、鍋から布を引き上げる。
5: (※媒染液は今回、どのお宅にもある石灰の乾燥剤を使いました。)5センチ角の乾燥剤一袋を鍋に入れ約一リットルの水を入れて溶かす。(溶かしても完全には溶けませんでしたが気にしませんでした。)
6: 4の布を5の液に浸す。色が定着したら(私の場合5分ほど浸しておきました。)水洗いをし、再び4の液に浸して煮出す。更に色が定着したら、5の液に再び浸し最後に水洗いをして陰干しをすれば出来上がりです!色が薄かったら、4,5の行程を繰り返して色をお好みに調整してみてください。4から5に移す時は軽く布を絞りました。
※染めたい布が麻や綿の場合はあらかじめ豆汁処理を行ってから染めるらしいのですが、私はそれもせずに行いましたが、染まってくれました。次回は豆汁処理をしてから染めてみたいと思います。さて今度は何で染めようかな〜。(朋子)

朋子さんが参考にしたのは、「自休自足」という雑誌の記事ということです。

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2007年11月2週号


■ 暖秋のゆくえ 

 暖かかった10月に続き、11月に入ってからも、最低気温が10度を切らない日のほうが多く、湿気っていて生ぬるい秋です。
 前々号で「どうして網の中にいるのか考えると夜も眠れない」と書いたヨトウムシも、まだまだ産卵を続け、卵は孵り、幼虫は白菜やキャベツに攻撃をかけています。この秋、孵ったばかりのほこりのような小さい幼虫が、細かい防虫網の目をくぐって野菜に到達している、ということが判明しました。防ぎようがありません。周囲に草や裸の野菜がないようにして、近くで産卵させない、ということしかありませんが、それは不可能ですので、結局虫見を徹底するしかなく、「答え」が出たあとも、「眠れない」ようです。
 特に、柔らかい白菜は食害が進みやすく、守りきるのは大変です。少々の虫食いはご勘弁ください。

■ 干し柿と炒り落花生 

 今年は、実りものは豊作のようです。甘柿の「富有」「次郎」や干し柿用の渋柿など、たわわに生った柿の木をあちこちで見かけます。ここ寄居に引越してきた当初は、何回か近所でいただいた柿を干しました。1回くらいうまくできたでしょうか。続けて2,3年、カビさせてしまい、以来10年ほど干し柿は作っていません。タクアン用に、いただいた甘柿の皮を干していたものさえ、かびてしまうことが多くなっていました。
 近所の秩父出身のYさんに、寄居より寒い秩父でも干し柿がうまく出来なくなっている、と聞きました。「熱湯をくぐらせてから干せば大丈夫」という話を読んだのですが、Yさんも試したけれど、ダメだった、とのこと。どうしても作りたかったら、部屋の中で扇風機かけてやるしかない、と言っていました。7年ほど前に畑に植えた干し柿用の「蜂屋」という品種の木が、今年は20個ほど実をつけましたが、早めに取って、熟柿になるまで待って食べています。

 生で出荷したあと、炒り落花生用に、掘りあげて選別して洗ってハウスに広げてあった落花生にも、干している間にカビが出てきてしまいました。カビのでたものを種用にはじきながら、来年からは自前の炒り落花生なんて考えるのはよそうと、思っています。何か乾燥の機械がなくては、暖かく雨の多いこの季節には、干しあげるのは困難だと思い知りました。

■ シェフ来訪 

 たびたび「たより」にも登場している、東京両国のイタリアレストラン「茂ル木」(03-3622-7978)の茂木さんが、日曜日に愛妻と5カ月の愛息とともに、畑を見に来てくれました。「お客さんに感動を与えたい」と頑張っている毎日のこと、素材のことなど話が尽きませんでした。お近くにいらっしゃるときはぜひお立ち寄りください。(11月12日記)
 なお、「茂ル木」さんのヤフーグルメでの掲載アドレスは、http://gourmet.yahoo.co.jp/0007016631/0010657217/ktop/ です。

(さし絵は、久しぶりに少しだけ作った、コールラビ。キャベツの茎がふくらんで、カブみたいな味がする、という野菜です。品種は「アズールスター」という有機種子で、その「紺碧の星」という名のとおり、きれいな青紫色の肌をしています)

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2007年10月5週号


■台風、そして冬 

 近づく冬の気配の中、伏兵のような台風20号が、100ミリ近くの雨をもたらして去りました。もう、露地の畑に作付けるのは、玉ねぎとホウレンソウとエンドウくらいでそんなに影響はありませんが、ついこの前蒔いたホウレンソウが流されてしまったのは痛いです。

 冬を目前にした冷え込む早朝には、お腹を卵で膨らませたカマキリが、インゲンのツルにしがみついて、固まっています。日差しが強くなれば、動き出すはず。ハウスの中を耕す機械の横では、土の上をスズメバチがよろよろと歩いていました。
 このあと畑では、例年同様、残ったサツマイモと焙煎に出す予定の落花生を掘り上げ、玉ねぎを定植して里芋を掘って貯蔵、などの仕事があります。いつもと違うのは、「最終引越し」に向けての作業。居住と出荷部分を新居に移したあと、夏の農繁期に突入して中断していたのですが、以前の借家を返すべく、鶏のエサ作りや漬物関係のもの、貯蔵しているジャガイモや雑多な道具類などを整理しつつ移動させねばなりません。

 そんなこんなで、カマキリやスズメバチのように、固まったりよろよろして仕事をしている私たちの前に、頼もしい助っ人が現れました。勘が良くて飲み込みが早いので、何を頼んでもバランスよくこなしてくれます。何より色々なことに前向きな姿勢が、私たちの気持ちを明るくしてくれます。まずは、本人からのメッセージを。写真は、春菊を植えるある日の朋子さん。(10月29日記)
★朋子さんのブログは、こちら。 http://hemp420.jugem.jp/

【朋子のHappy Veggie通信〜ごあいさつ〜】 Vol.1 

 どうも、こんにちは!先月からご縁があって伊藤さんの畑で農業の勉強をさせていただいている者です。
 最近はすっかり朝晩冷え込んできて来ましたね。先日は菜園の方でも、ハウスの中で頑張ってくれていた最後のキュウリ棚を片付けました。いよいよ冬が来るんだなぁと畑のほうも冬支度が始まっています。夏野菜たちにありがとうを言って、次は冬の野菜たちと共に農園は今日も大忙しです。
 私が野の扉さんに通い始めて早くも一ヶ月が経ちました。毎回、驚きと、楽しさと収穫の喜びを肌で感じています。出荷作業では黙々と野菜を包装し、農園では土と野菜そして虫さん達に遊んでもらっています。
 晴天の空の下、農園で汗をかきながらの労働は非常に気持ちの良いものです。「あぁ幸せだなぁ、有り難いなぁ」なんて思いながら土に触れては童心に返り、キラキラ光る美しい野菜を見ては感動しています。その傍らでは伊藤さんご夫妻が手際よく農作業をこなしていきます。私はまだ、指示されないと右も左も動けないひよっ子ですが、少しでも農園の戦力になりたいと奮闘しています。今のところ玉ねぎの皮むきと雑草取りがお気に入りの作業です。(笑)
 小さな頃から「農業いいなぁ」と漠然と思ってはいたのですが、まだ自分が将来どのように農業と関わっていくかは今のところ世界の七不思議くらい謎です。どんな道が続いていくのでしょうか。楽しみです。伊藤さんの菜園で勉強して吸収した知識の種はいつしか芽が出て花が咲くのではないかと思っています。という訳で新参者ですが皆様、応援よろしくお願いいたします!では、また菜園たよりでお会いしましょう。 <つづく>

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2007年10月2週号


■ 畑の運動会 

 日曜日は、お天気にも恵まれて、「野の扉」の菜園運動会となりました。

 ・まずは、綱引き。娘と2人で、サツマイモのツルを根元で切って引っ張ってウネの横に出していきます。そこを夫が畑の掃除機=ハンマーナイフという粉砕機で走っていきます。そのあと、イモを丁寧に掘りあげます。
 ・次は、大玉ころがし。数日前に株元で切っておいた、ニガウリと三尺ササゲの枯れたツルを引きずりおろして、網ごと丸めて大きな玉にします。そして邪魔にならないところまで転がしていくのですが、重い(50キロ以上)うえに、2人で呼吸を合わせないと思った方向へ転がりません。
・菜園ならではの種目は、「神経衰弱」です。白菜やキャベツの葉っぱを一枚一枚めくり、ヨトウムシの幼虫が見つかれば、当たり、ですが、当たりが多くて勝負が決まりません。
・競歩は、播種機を押して。スピードではなく、正確さと注意深さを競います。昨日は、小松菜、京菜、ホウレンソウ2種、ルッコラ2種を蒔きました。それぞれ種の大きさや落とす間隔が違うので、いろいろ機械を細かく設定しなおして行います。
・あとは、玉入れならぬ、卵取り。これは簡単。巣箱からとった卵を集卵カゴにそっと入れるだけです。

 時間切れで延期されたのは、トウガン・リレー。カボチャと違って、表面に毛が生えているので、投げてリレーはできません。などなど、気持ちよい秋の1日を過ごすことができました。
 

■ 地域農業に支えられて 

 稲刈りが始まっています。前の鷹巣地区や隣接する今住む地区では、田んぼを持っていても、大きく耕作している専業農家に貸す家が多くなっています。田植えや稲刈りの作業を請け負ってもらう家も増えています。でも、地主である「鷹巣くぬぎの森広場」の吉田さんからは、例年通り玄米をまとめて分けていただけますし、畑で使う稲ワラもいただきます。刈り取った米の調整で出る「くず米」は、数軒から鶏エサ用にいただきます。

 鶏小屋に敷くモミガラは、これまで酪農もやっている農家からいただいていましたが、今まで牛小屋に敷いて使っていたオガクズが業者の廃業で入手できなくなったので、モミガラは自分のところで必要になった、とのこと。それで、隣町の種苗屋さんに紹介してもらって、今の地区の中心的な担い手であるUさんから、分けていただくことになりました。Uさんは小麦も広く作っているので、麦ワラ集めの際も声をかけていただけそうです。

 こんな風に、地域全体の農業が生きて動いているからこそ、うちも百姓が続けていられるわけですが、就農してからの15年ほどの間で、この2つの地区で新たに就農したのは、自分たちのような他産業からの新規就農者だけです。専業農家自体大変少ないですし、若い後継者は一人も出ていないのです。5年先、10年先、私たちは今と同じように営農できているでしょうか。まずは、「スポーツ」のやりすぎで体を壊さないようにしなければ。(10月8日記)

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2007年9月4週号

■ 地下鉄はどこから・・・

 これは古い漫才ですが、考えていると夜眠れなくなってしまうのは、「虫はどこから入ったのか」と同じです。

 9月半ばともなれば、虫除け資材も少しずつ「軽装」になっていくはずなのに、真夏と同じような気温が続いていましたので、10年前なら被覆資材を必要としなかった作物も含め、依然として濃い密度で活動している虫が怖くて、できる限りの対策をして作付けています。
 そして、毎年書くことですが、虫除け資材をかけていても中で発生する虫、代表的なものは「ヨトウムシ」、がいて、次々に野菜たちがその猛牙に倒れていきます。今年は特に早くからヨトウムシの小発生が畑のあちこちで見られたので夫は警鐘を打ち鳴らしていたのですが、猛暑の中、苗を育てて植え、種を生やすことだけで精一杯で、「虫見」が遅れたこともあり、被害は菜園始まって以来の大きさになっています。
 
 「毎日1本!」のウネの虫見では、到底追いつかず、土曜日はほかの仕事を投げ打って、2人で集中して虫取りをしました。でも、網の中で世代交代して、もうサナギになろうとしている大きな幼虫と芥子粒ほどの生まれたてのものが同居していたりして、虫取りが徒労に終わることも予想されますし、手遅れでつぶしたウネもありました。

 虫がいなくなってからの作付けでは、冬に間に合わなくなってしまうし、やはり前を向いて進んでいくしかありません。ようやく、秋の兆しが見えてきました。今後、野菜セットの内容がさびしくなったり、個々の野菜のレベルが低くなることが考えられます。どうぞ、「いいときもあれば、悪いときもある」年間通じてのセット野菜ということで、ご了解いただければうれしいです。

■ 「ニセの有機米」事件と育苗の土 

 今月、福井県の稲作農家が、JAS法に違反して、有機認証を取り消されました。「無農薬・無化学肥料」を謳って全国でJAS有機シールを貼ってお米を販売していたのに、苗土に化学肥料を使用していたことが農水省の検査でわかったからです。
 うちも、開園当初で、自前の土ができない間は、市販の化学肥料の入った苗土を使用していましたが、数年後、落ち葉や稲ワラを使った土ができてからは、市販のものを使うことはなくなりました。苗土の中の化学肥料など、田畑全体から見れば、無視できるような微量のものでしょうが、「原則は原則」です。うちは、制度の始まった2000年と翌年は有機認証を取り、その後中止して現在に至っていますが、今も、JAS有機の条件を満たして営農しています。実は、その条件そのものが、「ほ場での無農薬・無化学肥料」から、「苗や種も含めた無農薬・無化学肥料」に向けて変化してきているのです。この稲作農家は、そこを軽視したのでしょうか。(うちは、苗は無農薬・無化学肥料ですが、種は農薬使用のものも使っています)
 この農家は大規模で稲作専業ですから、苗土の使用量は非常に大量でしょう。でも、自家製は無理でも、市販の無肥料の土をブレンドして使う、ということはできたはずです。 そうして工夫している有機農家はたくさんいます。近所の仲間は、この夏、有機認証対応の高価な苗土を共同購入し始めました。こんな風に、見えないところで、「原則」を守っている弱小有機農家から見ると、この農家への処遇は当然のことと思われます。

■ ベルトが切れるような夏であった〜晃の話 

 この夏は、いくつかの個人的で肉体的な変調もあった。マスコミは、数奇な事件を伝えた(線路が伸びた等々)。でも、そんなことを訴えても、繰り返し思い起しても、インパクトはとうに失せた。もう秋なんだ。

 30年来愛用してきた、僕のベルトが、この夏、ささくれ、ヒビ割れ、ついに真っ二つに切れてしまった。大事に使えば一世紀は使用に耐える太さと厚みをもった、父からもらったベルトであった。
 この夏、このベルトは、1日も欠かさず、早朝装着され、午前中には厳しい日射しの中、塩辛い僕の汗を腹いっぱいに吸い込んだ。そして、昼休みの間、だいたい1:00から2:30迄のあいだ、日なたで、カリカリになるまで干されていた(ズボンごと)。そうして午後再び装着され、日暮れ時にはまたもやじっとりする程僕の汗を吸い込んでくれたのだ。
 でも、たとえ各地で10数本の、もしかしたら数百本のベルトが切れてしまったとしても、当事者にとってどんな意味があるのだろう。遠からず、夏といえば、40℃を越える日があって、線路は限度をこえて伸びるのが当たり前になるかもしれない。僕は百姓だから、この夏とかつてのあの夏、その夏と、どうしても区別したいのだ。
 苗の良し悪し、野菜の出来不出来、できる限りの事象、形をもたぬ様々な記憶を束ねる顔として「ベルトが切れた夏」と命名し、覚えていたいのだ。

ひとくち料理メモ  <とうがん>  
 初期、まだツルが少なくて葉っぱが茂っていないときは、こんな皮の厚いトウガンの実も、日焼けで畑で傷んだりしました。その後は暑さにも慣れ、葉っぱも茂って、順調にぽこぽこ取れています。緑のカボチャと違って保存もきくし、この先1,2回はセットに入ると思います。
  イタリアンレストラン「茂ル木」の茂木さんが、「マッチ棒くらいに切って、塩をあててから、サラダにしても、おいしい」と教えてくれました。
 定番の煮物では、「煮すぎない」ことが肝要のようです。かつおや貝類などのダシの旨みを、火を止めてから含ませる感じで。簡単なのは、味噌汁の具にすること。切ってあると傷みやすいので、届いたらすぐ冷蔵してなるべく早く使ってください。
 
 宅配便ご利用のお客様へ 
 前回の「たより」と一緒に、「送料の値下げのお知らせ、及び代金振込み方法の変更のお願い」のチラシを同封しました。10月からは、そのチラシにあるように、代金の請求を郵便振替の「料金払込み人負担の普通払込書」(青字の用紙)で行います。払込み手数料のかからない方法での振り込みに変更していただくか、手数料の安いATMでの振り込みにしていただくよう、再度お願いいたします。ご質問ご意見ありましたら、お気軽にお声をおかけください。(9月24日記)

〜〜〜さし絵は、畑に植えても管理できないからと、玄関横の大きな鉢に植えた、ハーブのフェンネルの花です。夏前に、繁茂していたら、アゲハチョウに卵を産み付けられ、ずい分食べられました。それでも回復して、また大きく葉っぱを広げていたのですが、「2代目」が何十匹も生まれて、ほとんど軸だけになってしまいました。それでもまた、ほんの少しの葉っぱが再生し、可憐な黄色い花まで咲かせました。うちの鶏ひき肉の料理に何回か使いました。〜〜〜

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2007年9月1週号


■ 虫も交替、野菜も・・・

 先週後半から、25度を切るような涼しさで、雨も降り、朝ごはんを食べながら何だか静かだなあ、と思ったら、セミが鳴かない日もありました。長かった8月(猛暑日19日、というのは、熊谷の新記録でした)がやっと終わり、どんどん早くなる日暮れ時、畑から帰る細い道は、秋の虫の大合唱のトンネルです。
 体もほっと一息ついて、落花生やショウガ、里芋、さつま芋などの「掘り出し物」を試してみる余裕も出てきた、といいたいところですが、実は、夏野菜の衰えに拍車をかけるように、南東から不気味な感じで近づく台風9号の影におびえて(?)のことなのです。本当に台風が来てしまうと、なすすべはないのですが、それでも頭をひねり、この先の秋冬野菜を守るために、できる準備を進めています。畑の中の水の流れを考えて、夫が、あちこちに浅い溝を機械で切りましたし、埋もれてしまった区切りの溝もスコップで掘りなおしました。
 9月は春先までの野菜を確保する大事な時期ですが、なかでも、来年一年間を支えてくれる玉ねぎの種蒔きは、一発勝負。品種ごとにそれぞれ蒔く適期の幅が狭いので、毎年天候をにらみながら、はらはらしますが、今年はどうなりますか。

(★9月に頼れる野菜のはずの緑の「メルヘン・カボチャ」、貯蔵中の8月の暑さで傷みが入るのが早まっています。最初から、傷んだところを切り取っての出荷です、ご了承ください。)

■ 卵の話 

 つい先日、今年になって養鶏業者の倒産が急増している、というニュースを見ました。 

「地球温暖化対策として脚光を浴びるバイオエタノール燃料の需要増に伴い、米国で主原料のトウモロコシ相場が高騰。家畜飼料用トウモロコシの9割以上を米国からの輸入に頼る日本では、今年の配合飼料価格が昨年より3割近く上昇し、96年以来11年ぶりの高値となった。養鶏用の飼料はトウモロコシが配合割合の5〜6割を占める。経費の大半が飼料代のため経営難に直結する。卵だけを扱う単品経営の業者も多く、飼料価格の上昇分をそのまま販売価格に転嫁することが難しい」

 うちが参加している「自然卵ネットワーク」という平飼い養鶏家の会から、飼料価格アンケートが来たのも最近のことです。うちでは、飼料に輸入トウモロコシを使わず、穀類は国内産のくず小麦とくず米が主体なのですが、調べてみると、もう一つの購入飼料の魚粉(国産)の価格が、3年前の1.5倍になっていました。魚粉の割合は少ないので「経営を圧迫」するところまでは行っていませんし、100羽ちょっとの超零細養鶏ですので、この大きな流れとはやや距離をおいていますが、関心を持ってこの先のありようを見守っています。
 
 この猛暑で、下界よりずい分涼しい里山の木立ちの中で鶏を飼っているうちでも、産卵率が低下して、お客様にご迷惑をおかけしています。あたり前のようにあって、何十年もの間“物価の優等生”の世間の卵に比べると、契約販売で不自由なものではありますが、その世間の卵も、薄氷の上に成り立っているということが、今回の「バイオ燃料か飼料か」の綱引きで見えてきます。(9月3日記)

宅配便ご利用のお客様へは、送料と振り込み手数料の変更のお願いのチラシもあります。お読みください

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