◆たよりの箱(30)◆

2010年1月から4月の「菜園たより」です

無農薬有機野菜と平飼い有精卵の
菜園「野の扉」

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2010年4月4週号

■ タケノコ、生えた 

 昨日の最高気温は26度、日照不足の環境で育った野菜たちはびっくり。特に、定植して間もないハウスのキュウリは、あまりの日差しでふにゃふにゃに。慌てて太陽光線を6割ほどカットするネットをかけてやり、どうにか復活。そんな昨日が嘘のよう。今日の最高は8度、冷たい雨が降っています。なんという気温差でしょうか。これでは野菜も人間もおかしくなってしまいます。

 ここではご存知、たくさんの種類の野菜を作っています。その野菜たちはそれぞれ適した環境が異なります。畑の状態はもちろんですが、やはり気温や雨量、日照など、天候の好みも異なります。ですから、どんなにひどい天気が続いても、なぜだか好調な野菜が出現するのです。
 しかしこの春は何かおかしいようです。現在好調という野菜が見当たりません。寒さで生育は遅れ、湿度で病気は増え、トウ立ちは待ってくれず、どの野菜もこの変な天候に調子が狂ってしまっているようです。
 例年になく元気がいいのは、隣の竹林からやってくる筍と、畑の脇の倒木に自生する木耳(きくらげ)くらい。
こんな調子でため息の多い春ですが、踏ん張っていきたいと思います。(4月22日 翼)

■「テンキ」時々「タヌキ」 

 4月の半ばに雪が積もったと思ったら、昨日は霜も降りて、ジャガイモの葉っぱがやられました。天候不順が日常になっていますが、野の扉では、十重二十重の策と精いっぱいの五感を働かせて、何とか野菜セットを維持しております。

 そんな「野の扉」に珍客が。右の写真の、痩せさらばえたタヌキです。畑の隣の篠やぶから篠やぶへ、道を渡ろうとしていたところ、気配を感じて振り向いた夫に一喝(?)され、へたり込んだまま数分動けませんでした。里山にも食べ物が少ない春なのでしょう。よろよろ歩いているのを、何度も目撃しています。かちかち山の相棒のウサギも、畑を走り回って(見るのは足跡だけですが)、食料の調達に励んでいるようです。うちの玄関に巣作りしたツバメも、ちっともヒナを孵しません。生まれちゃったら養わなくちゃいけないから、もっとエサの虫が増えるまで我慢しているのかもしれません。

 さて、タケノコを乗せたせいではありませんが、夫はこの時期恒例の腰痛悪化で、整体所通い。腰の抜けたタヌキはひとごとではない・・・。

 ★葉玉ねぎから新玉ねぎに昇格するはずだったのですが、後で採れて貯蔵するはずの品種に「分球」しているものが多く、肥大が望めないので、葉っぱがきれいなうちに葉玉ねぎで出荷させていただいています。葉っぱも一緒に炒めると、甘い、です。

 ★菜っ葉をゆでたら、「水を使わず、ザルで冷ます」方がおいしい、と、先日、先輩のHさんから教わりました。菜っ葉は「ゆで上がったら、冷水にとる」のが、習慣になっていましたが、ちょっと早めにゆで上げて、平ザルに広げて、できれば水切りなどの上で湯気がこもらないよう、冷まします。甘みが残るようです。今、唯一といっていい、豊富にある小松菜、おいしく召し上がってください。(4月26日 泰子)

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2010年4月2週号

■ 春が壊れた

 2週間前に翼君が危惧した、3月末の寒波は、当菜園としても開業以来の冷え込みとなりました。3日連続の零下の朝、厚い氷まで張り、畑に出ていた夏野菜がずい分被害にあってしまいました。さまざまな対策はとっておりましたが、相手が悪かった・・・ 

 千葉や茨城、静岡の知り合いの農家は、それぞれ痛い被害を受けたとのことですが、こんな20数年ぶりの春の真ん中の寒波でも、一般的にはほとんどニュースにはなりません。日本農業新聞で「凍霜、神奈川県の特産梅を直撃」という記事をみかけただけでした。温暖化が言われて久しく、確実に冬から春への季節のめぐりは早くなっているのですが、もう一つ、気温や降雨の「乱高下」も常態化。ちなみに、この3月の東日本の降水量は、「戦後」最多だったとか。

 「お天気が、もう、壊れちゃってるよ」とは、20℃を越える日々を経たのち、また今週にも零下まで下がる可能性のあるとの予報を見ての、夫の言葉です。

■ 機械化の波 

 野菜の畝の保温や草対策のために、マルチ(薄いポリの帯状のシート)を使っています。始めた頃は、ごみになる使い捨てのマルチは使いたくない、と思ってやっていましたが、畑が広がり生産量が増えるにつれて、紙製のマルチや畑で分解するというマルチを使いだし、少しずつ使用量も増加。それでも、「意地」を張って、何年も人力でマルチを張ってきました。まわりの仲間たちを見ても、マルチを張る専用の機械(=マルチャー)は必需品、うちの元研修生の幸雄さんも今年購入。
 それに刺激されたわけではないのですが、排水対策の高畝作りのための装置がほしくて、機械屋さんに頼んで購入したら、一緒にマルチを張るための一式もついていました。ということで、うちもようやくマルチャー元年。

 長雨、梅雨時には、畝を高くして、野菜たちの根っこを守ってやって、しのがなくてはなりません。これまでは、まずトラクターで耕し、歩行式の耕運機を何度も走らせて土をはね上げ、できた畝を平らにして、マルチを引っ張って、両側に土を載せて押さえる、という手間をかけていましたが、マルチャーを付けたトラクターなら、一発でできてしまうのです。まだまだ操作に慣れていない(夫が)のですが、寄る年波には大きな防波堤となってくれることでしょう。
(写真は、ハウスでとれた珍品、自根自縛の春大根です。4月12日 泰子)


■ トンネルの海 

 畑では、夏に向けての定植ラッシュです。次から次に、キャベツやレタス、夏野菜を、収穫する時期が重ならないように植えていきます。新入りの自分は、「また植えるの?」と毎回聞いてしまいます。実家に戻って半年弱なので初めての春の畑、こんなに様々な種類を何回にも分けて作付けているとは知りませんでした。苗の数が合わない、土が固い、トンネルのビニールシートが足りない、定植にはいつもこんなイレギュラーな問題が起こります。畑には苦労して作ったトンネルがずらり、これが全部順調に育ってくれたなら、間違いなく大豊作です!!(笑)。
(写真は、5月の「ノラのパン」の新作、「ブリオッシュ・オ・レザン」です。 雪丸)

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2010年3月5週号

■ いつもの春 

 一昨日のこと、伊藤家の玄関にツバメが帰ってきました。軽快に空を飛んでいる様子を見つつ、去年と同じ鳥だろうか?それとも去年の子供だろうか?とみんなで話しながら、とても嬉しい気持ちになりました。そして目の前の小さなツバメと、過ぎ去ったこの1年を思うとき、日々の忙しい時間とは別に流れる、大きな時間の存在を思わずにはいられませんでした。

 しかし、そんな気持ちでいられたのもつかの間、すぐに冷たい雨が降り出しました。夜にはみぞれになり、先々週の大雪の悪夢が頭をよぎり、不安な夜を過ごしました。結局、雪はほとんど降りませんでしたが、天気予報を見れば、これから数日間は最低気温が0度前後。先日定植したトウモロコシも今朝の寒さでダメージを受けていました。3月末になってもこの寒さ。まだまだ油断ができません。
 農業というのは、天候にいかに左右されてしまうか。この1年で痛い程よく感じました。そしてこの天候というものに、平年通りというものはまずあり得ないということも知りました。平年値なんてあてにならないし、僕たちにできるのは、ただその時できることに励むのみ。雨が多く、暑くなったり寒くなったりを繰り返す今年の春ですが、こんな異常な春こそは、まさに平年通りであると考え、日々せっせと働いていこうと思います。(3月26日 翼)

■「ユリ」たちの活躍 

 「ユリ」といっても、「ユリ科」の野菜、つまりネギ類のことです。3月に入ってもかろうじて出荷できていた、去年6月収穫の貯蔵性の高い品種の玉ねぎが、青々とした芽を伸ばしてくる頃、秋に植えた一番早生の品種が、葉玉ねぎで登場。風雪にも負けず、少しずつ玉を太らせて、新玉ねぎに昇格しつつあります。サラダがおいしい。(紙版を発行してから気がつきましたが、この間に、「リーク」が登場していたのでした。)

 長ネギも、鍋にぴったりの太い「なべちゃんネギ」や、冬のメイン品種の「西田ネギ」が、坊主を出して来て終わってしまって、柔らかい分けつネギの「九条ネギ」に移っています。でも、これも春の気配にすぐとう立つので、次は、1本ネギの晩生種、そして最後は「坊主知らず」とも呼ばれる、いっぱい分けつする「株ネギ」になります。薬味にいつもなくてはならないネギですが、この時期は、いっぱいうす切りしたのを炒め物に加えると、甘いです。

 あとは、ワケギ。毎年球根を継いでいます。きれいに「こしらえる」のが手間ではありますが、やはり、春に一度は「ヌタ」(酢味噌和え)が食べたい・・・ もうすぐ、トンネルをかけて早めた、ニラも、出荷できそうです。卵とじが食べたい。

  この時期、端境期で野菜が足りなくて、出荷したことのある野草の「カンゾウ」もユリ科ですが、今年は使わなくてすみそうです。どれも華やかさはない「ユリ」ですが、この時期はとっても頼りがいがあるのです。

★ 5月の「ノラのパン」 

、につきましては、「通信」を隔週コースの方には4月5日より、毎週コースの方には12日より、配布させていただきます。パンの保存方法、新製品、パン切りナイフの頒布などについて掲載される予定です。まだまだ「はじめの一歩」ですので、長い目で見てお付き合いください。(「ノラのパン」のサイトは、ここ

さし絵は、「プチパンからの構想」 という題名で、照手が描いて送ってくれた絵です。(3月29日 泰子)

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2010年3月3週号

■ 大雪もあり、春近し 

 先週は、予想外の春のドカ雪で、畑のトンネルが何本もつぶれました。支柱も曲がったし、中の野菜にも被害がありました。1日の間に20度も気温が上下する日があったり、先月来の雨がちな天気もあって、作付けは遅れがちですが、「野の扉」ハナタレ軍団(夫婦揃って花粉症、実は翼君も花粉症だったし、雪丸は年中鼻炎)は、畑でくしゃみをとどろかせつつ頑張っています。
 また、先月より、新しく畑を借りました。ゆとりを持って作付けるためにも、「ノラのパン」の将来に向けての麦増産のためにも、畑を増やすことは必要でしたので、これまでの畑とは少し離れてはいますが、まとまって3反半(1000平米ほど)の日当たりのよい畑を借りることができたのは幸運でした。
 冬草がびっしり生えた畑をトラクターで何度も耕し、測量してウネの方向などを決め、段差を均すためにトラック何台分かの土を移動し(これは、もっぱら若い力を借りて)、昨日最初の作付けのためのマルチを数本張りました。どんな個性の畑なのか、ゆっくり見極めて、上手に使っていけたらいいなと思っています。

■『にっぽんのパンと畑のスープ』発刊 

 この「たより」に何度も登場していただいている、神奈川県葉山市在住の「情熱の料理発明家」白崎裕子さんのレシピ本が、出ました。「まったく予約のとれない、話題のマクロビオティック料理教室=葉山「白崎茶会」の待望のレシピ集!」ということで、ものすごく盛りだくさんな、素敵な本です。裕子さんの、食べることに向かい合う真摯さに感動します。
 対象を凝視し、差異を嗅ぎ分け、最善を実現するまでの行程は、多分世界と食べ物のあるべき関係についての具体的なイメージに支えられているのでしょう。毎週野菜をお送りして「菜園係」を務めさせていただいている私たちが、採算の取れない小麦の作付けを続けてこれたのは、裕子さんの「他にはないおいしい粉」という評価があったからだということも、その一例だと思います。
 ぜひ皆さんにも読んで見てほしいです。本屋さんから注文もできますし、ネットのAmazonでも購入できます。(WAVE出版 ¥ 1,575) (泰子 3月15日記)

■ ノラの箱舟 

 ようやく焼きあがったバケットを片手に、ノラは3月の雪原へ船出する。どうりで降り止まぬこの春の雨、雪は、箱舟の門出にだけふさわしい。しかし、一通り外観をながめた人なら誰しも思うと思うのだが、箱舟という形容はふさわしくない。これは、食パン2斤型だ! もしもこの「箱舟」が大洋に浮かび漂うならば、そしてもし、それをパン職人が見つけ、幸運にもどういうわけか遠近感を失っていたなら、「食パン2斤型だ」と気づいただろうに・・・・・ しかし窓がある。出入り口だってある。換気扇もある。電気、給排水設備だってあるのだ。だが、問題はそういうことではないのだ。箱舟は、向かうべき岸を持たない。これこそが大事なポイントだ。大いなる楽観をもって、大海にあてもなく漂いだす、ノラの箱舟に幸いあれ! (父・晃)
(蛇足ながら、前号にあります、息子の「ノラのパン」に関した一文です。「ノラのパン」のサイトは、ここです。こちらも門出したばかりです。)

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2010年3月1週号

■ ダンス、ダンス、ダンス  

 待ちに待った春がやってきました。ついにシモヤケともおさらば。花粉症を持っていない僕にとって、春は言うことなしの嬉しい季節です。
 春の訪れを喜んでいるのは、人間だけではありません。野菜たちも急に成長を早めました。そのため管理作業は増え、定植や種まきが次から次へとやってきます。そしてもちろん雑草や虫たちの活動も活発になります。あの戦いの日々がまた始まるわけです。

 そうこうしている間に、夏の果菜類の育苗も始まります。先日はその際に使う、踏込み温床を作りました。踏込み温床とは、枠の中に稲藁、米ぬか、落ち葉、鶏ふんと水を何層にも繰り返して入れ、踏込み、それらが発酵する時に出る熱を利用して、苗を育てるものです。夏の果菜類は発芽に高温が必要になるので、早い時期から育てる場合、この温床を使います。ちなみに育苗の済んだ温床は、崩して畑の隅に置き、切りかえしなどを経て、2年後には育苗の土として使います。昔から続く百姓の知恵。本当に素晴らしいです。
 この踏込み作業、実はかなりの重労働。みんなで交替しながら大変な思いをして作り上げました。この原稿を書いているのは、温床完成から3日目。温度は順調に上がっていて、予定通り使い出せそうです。
さあ、これから忙しくなってきます。頑張っていきます!(2月27日 翼)
(「百姓は、いつも、頭上に太陽を、心にダンスを!」 写真は、おじさんが給水しながら、二人のアイリッシュダンスを鼓舞しているところ。)

■ パン小屋、完成 

 前号でごあいさつした息子の雪丸の、パン作りのための作業場がほぼ出来上がりました。

 もっと長く、外で働いて給料(とボーナス)をもらっていてほしかった、と母は思ったわけですが、帰ってきて以来、雪丸の頭の中はパンのことでいっぱい。畑の作業の合間に、毎日2回自家製天然酵母の種継ぎをし、週3日の出荷日には台所と作業場を何回も往復して、パンの試作を重ねてきました。広くもない台所はパン関係のモノであふれ、調理台はバンバン叩かれ、15年前に拾った電気オーブンは寿命いくばくもない、という状態でしたので、この引越しでそれぞれ一息つくことになります。水道工事や屋根の造作などは、翼君にもよい「研修」になったかと思っています。
 本人が食品衛生管理者の資格は取りましたが、この小屋では正式のパン製造の許可を得ることはできません。まずは、「おすそわけ」の体裁で、ご希望の皆さまに少しずつ、雪丸の「ノラのパン」を購入していただいて育てていけると幸いです。試食していただいた方からは、「味わい深い」「天然酵母パンなのにしっとりしている」「腹持ちがいい」などの評価をいただいています。

 今回、パンの種類や購入の方法などを載せた「ノラのパン通信」(サイトを立ち上げました。まだ、作成中のところもありますが、よろしければアクセスを)を一緒にお届けします。目を通していただけると、うれしいです。よろしくお願いいたします。(3月1日 泰子)
(パン通信に使わせていただいた絵は、画家の故・貝原浩さんが、二〇年前パン屋を始めた私たちに、エプロンに描いて、プレゼンとしてくださった絵です。)

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2010年2月3週号

■ 味噌日和

 暖冬予報を裏切って、2月に入ってからも寒くて雪っぽい日が続きます。露地の畑の状態と天気予報を両にらみして、作付けを綱渡り的に進めていますが、雪になるととりわけ畑の回復が遅れます。こんな天候には、味噌仕事がぴったりです。

 コウジ付け2回味噌練り2回、例年よりちょっと多目の(9升の米+9升の豆)×2回で、米を洗うところから始まり1週間近く、気が抜けません。ご覧のように、今年は、味噌作り2年目の翼君と息子の、若い「手」が4本もありましたので、楽はできたはずなのに、大樽二つに仕込んだ味噌が納まって後片付けが終わったら、「抜け殻」のようになってしまいました。私も夫も、かれこれ20年やっているので、それぞれの工程でさまざまな工夫をしてきたつもりです。おいしい味噌になるように、そして伝統的な手仕事には並々ならぬ情熱を持つ翼君の将来に、少しでも役立ってくれるといいなあ、と思っての日々でした。
(2月15日 泰子  右上は、蒸した米に糀菌をつけている、翼君(左)と息子の雪丸。左は、今期初登場の大なべで、大豆を煮ているところ。)

 

■はじめまして 

 どうも初めまして、菜園「野の扉」のスタッフとして働いている伊藤雪丸(ゆきまる)です。今回から翼君と変わりばんこで「菜園たより」の一角を担当することになりました。
 自分は、1988年生まれの21歳です。高校卒業後に、全国展開しているインストア・ベーカリーの会社に就職しました。2年間勤めましたが、自分の目指しているパン作りとの違いが大きくなり、かねてから憧れのパン屋であった神奈川県の個人店で働かせてもらうことになりました。しかし人間関係でうまくいかず、2ヶ月あまりで実家に帰ってきてしまいました。色々悩んだのですが、昨年11月から「野の扉」の研修生?として農業の手伝いをすることになりました。最近では作業着を汚すことにも慣れ、少しずつ農家のリズムにも合うようになって来ました。そんな中で菜園たよりを書くことになりました。文章を書くのは苦手なので苦労しそうですが、どうぞよろしくお願いします。
 また、自分の本業となるはずのパン屋への道も、この間、少しずつ進んできました。そちらの方は3月から始めるつもりの「ノラのパン通信」で報告していきたいと思います。

(右から、麦を蒔く雪丸。自家製天然酵母。うちの小麦の粉で焼いたパン。)

野菜が乏しくなり、セットがさびしくなることが予想されます。値引きもあるかもしれません。よろしくお願いいたします。

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2010年2月1週号

■ 2年目のボク 

 ぼくが野の扉にやって来てから、1年になりました。ちょうど1年前、最初にした仕事は、山芋掘り。掘る芋のほとんどを、スコップで折ったり傷つけてしまい、自分の無力さと今後の不安で、クラクラするほど焦っていたのを懐かしく思い出します。
 1年経った今、山芋掘りは上達しましたが、畑ではまだまだ未熟者。これからも引き続き、野の扉で勉強させてもらい、成長していけたらと思います。

 最近畑で、ひとつ面白い作業をしました。それは麦踏みです。まだ10センチくらいの小さな麦を、踏んづけて鎮圧していきます。そうすることで麦は、負けてたまるかー、と強く健やかに成長するそうです。始めは専用の機械を使っていたのですが、機械を運ぶのに手間がかかるので、少し離れた畑の麦は、足で踏みました。なんだか少しかわいそうだな、なんて思ったのは最初の5歩くらい。すぐに楽しくなりました。作物を踏んづけてぺちゃんこにしていく。こんな悪いことを公然とできるのですから、それは楽しいに決まっています。
 麦は少ししか作っていないので、あっという間に終わってしまいました。なんだか物足りなかった僕は、いつか見渡す限りの麦畑で、1人麦踏みをしたらどんなに楽しいだろうと想像していました。(1月30日 翼)
(紙の「たより」には、夫の指示でまったく説明をつけなかったのですが、写真一番上は、山芋を掘りすぎて腫れてしまった手を休める夫。2番目は、3年前の、麦踏みローラーをかけている写真。3枚目は6年前のもの。娘が中学1年でしょうか。コンバインがなかった時代なので、今と蒔き方が違います。)

■ ハウスで野菜を作るということ 

 うちで一番大きいハウスが、間口3間奥行き13間(5.4m×23.4m)で、約40坪。その3分の1ほどの一番小さい育苗ハウスも含めて、栽培用のハウスが5つあります。ハウスの総面積は、畑の50分の1程度ですが、12月から3月までの寒い時期の野菜セット作りを乗り切るためには、作付けに、「ちょっとした周到さ」(担当の晃、曰く)が必要です。作付けが予定通りできたら、今度は「細心の注意を払っての管理」(これも、晃の指示待ちのことが多い)が待っています。

 もちろん加温はしていませんので、夜は薄いフィルム一枚の中はほとんど外と同じまで冷え込みます。野菜たちには、パオパオという不織布と、もう一枚トンネルをかけて防寒します。そして、昼は、ハウスのすそを巻き上げて換気して中にかけたトンネルを開け、夕方には再び戸締りする、というのが、毎日の作業です。苗だけでなく、生育中の野菜たちにも、たびたび、あちこちホースをひっぱって、水やりもしなければなりません。
 また、閉鎖されている分、露地より、虫の発生が集中することがありますし、狭い空間で過湿と乾燥を繰り返すことになるので、病気が出ないように、「細心の注意」が必要なんですね。

くすんだような越冬野菜の中に、ひとつでも、ピカピカした野菜が入っていると、料理する人も楽しいんじゃないかと、狭いハウスの中でこまごまとやりくりして、春を待っています。(2月1日 泰子) 

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2010年1月3週号

■ その先の春へ  

 鶏小屋の山の紅梅が、ぽつぽつと咲いてきました。厳しい寒さの灰褐色な世界に、あの鮮やかなピンクの花が咲き、僕の世界一好きな香りが漂います。1人で鶏の世話に行った時には、寄り道して、うっとりしています。こうして、梅から始まる春の花々へのリレーも、幕を開けたわけです。期待に胸は膨らみます。

 こんな春への希望を抱いていても、現実には寒さはまだまだ深まっています。最近は、毎朝のように零下になり、畑は真白く凍っています。日影では、昼過ぎになっても、表土から10センチの深さまで、ガチガチに凍っていることも珍しくありません。そんななかでも、野菜たちは、生き続けています。その強さには、心底感心してしまいます。特に、あの薄っぺらい(もちろん秋よりは肉厚になってますが)葉物たちが、毎日、凍っては融けて、を、繰り返しながらも生きていること。まったく驚愕の生命力です。そして、その寒さに耐えた野菜たちのおいしいこと。
 ちなみにぼく、葉物や人参の甘さには日々唸っていますが、特に気に入っているのは、大根。あの甘さとみずみずしさは、最高。いつも、しゃりっと、かじっています。そして今は、少しの量ですが、干し大根にも挑戦中。日々つまみ食いをしながら、小さくなっていく大根を見守っています。寒いけど、いい冬です。(1月16日 翼)

■ 寒さ自慢  

 毎週火曜、木曜、土曜日の朝は、共同出荷グループ「輪組」の出荷があります。昨年12月から、うちの自宅の駐車スペースに、配送の業者さんや「輪組」のみんなの車が集まって積み込みをすることになっていて、年明けからの話題は、もっぱら、この冷え込みのこと。
 特に先週は、「トラックの中の温度計が、零下8度だった」「風呂場の水が出なかった」「井戸のポンプが凍って動かなくなった」「いやいや、昔は、零下10度になったことがある」などと、「寒さ自慢」が続出していました。私は、翼君と違って、もうちょっと寒くない冬の方が好きです。野菜たちもきっとそう思っていることでしょう。

 三浦大根は、北側の地際が凍って戻れなくなってしまったので、下半分だけのお届けになっています。キャベツは、中間部分に、黒っぽいしみが入っているものが多くなっています。これは、葉っぱの間の水分が凍って膨張して、この圧迫によって傷ついた跡だと考えています。小松菜やほうれん草にも、あれこれ傷みが出ていますし、凍死してしまうものも出てきます。できる限りの防寒対策はしていても、この時期は、色々難点のある野菜も、お届けすることになってしまいますが、どうぞご容赦ください。

 ハウスの中には、春物の一番手が育っていますし、出番を待つ、キャベツやレタスの苗がたくさん。露地にも、大根、カブ、人参、葉物を蒔いたトンネルが増えています。この先も、凍りついたり緩んだりしながら進む季節に寄り添って、よい野菜たちに育ってくれるといいのですが。 
 (今回のさし絵は、娘の照手のもの。前回の絵は、晃のものでした。1月18日 泰子)

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2010年年始号

 
みなさま、2010年あけましておめでとうございます。

 年末年始は、いかがお過ごしでしたか?
 うちでは、30日まで出荷があったのは、いつもと同じです。大掃除とおせち作りも例年並みでしたが、今年は、ほんの少し作った自前のモチ米で(機械が)餅をつきました。

 いつもと違うのは、 鶏の世話とハウスの開閉という毎日欠かせない作業を、息子が手伝ったことでしょうか。毎年の正月の課題である、春蒔きの種選びはまだできていませんが、申告に向けての会計事務と大豆の選別は、ずい分進んでいます。

 大豆の収量が例年より多かったので、味噌用大豆(少々傷もの混ざり、1キロ600円)のご入用の方は、お声をかけてください。

 年末から寒さの底に下りていくような天候で、野菜たちへの影響も出てきていますが、今年も畑仕事を楽しみつつ、よい野菜をお届けできるよう精進していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

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